主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
【目的】CD25+CD4+制御性T細胞(Treg)は、特異的にFoxp3遺伝子を発現し、末梢免疫寛容の維持に寄与している。Tregと非制御性T細胞(non-Treg)との異常バランスは、強皮症におけるnon-Tregの関与する線維化を進展させる可能性がある。表面マーカーによるTregとnon-Tregとの区別には、CD25 およびFoxp3の発現量と逆相関するCD127(IL-7Rα)が有用である。本研究では、強皮症患者末梢血におけるTregとnon-Tregのバランスについて検討した。 【方法】19名(うち女性16名)の強皮症患者および30名(うち女性22名)の健常人末梢血よりCD4+T細胞を分離し、CD25、CD127、Foxp3の発現をフローサイトメトリーにて検討した。 【結果】CD4+T細胞におけるCD25+細胞の割合、CD25+CD4+T細胞におけるFoxp3+細胞の割合、およびCD25+CD127lowT細胞におけるFoxp3+細胞の割合は、いずれも強皮症患者において低下していた(それぞれ4.00±1.77% vs 5.17±1.39%, p=0.014、70.93% (34.6-100%) vs 91.87% (44.76-100%), p=0.0006、59.5±17.5% vs 81.0±10.9%, p=0.012)。 【結語】強皮症患者末梢血においてCD25+CD4+T細胞およびCD127lowCD25+CD4+T細胞におけるFoxp3+細胞が減少しており、Tregがnon-Tregに対し相対的に減少していた。この異常バランスが強皮症の病態形成に関与していると示唆された。