日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W3-6
会議情報

ワークショップ3 T細胞サブセット(Th1, Th2, Th17, NKT)と炎症
実験的自己免疫性脳脊髄炎における腸内フローラの役割に関する検討
*横手 裕明J. Ludovic Croxford水澤 英洋大木 伸司三宅 幸子山村 隆
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】多発性硬化症(MS)をはじめとする自己免疫疾患の発症には、遺伝的素因と環境的素因が関係しているといわれている。後者として、近年、腸内フローラが種々の自己免疫疾患やアレルギー疾患において注目されている。そこで我々は、MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を用いて、腸内フローラの変化が宿主に及ぼす免疫学的影響について検討した。 【方法】C57BL/6Jマウスに腸管非吸収性の抗生物質を7日間経口投与したのち、腸内フローラの変化をDNAマイクロアレイにて調べた。また、腸管膜リンパ節(MLN)からリンパ球を分離し、T細胞のサイトカイン産生及び増殖能について比較・検討した。さらに、MOG 35-55 ペプチドでEAEを誘導し、臨床スコアと病理所見を検討した。 【結果】抗生物質投与により腸内フローラは著明に変化していることがわかった。免疫学的には、抗生物質投与群ではMLN由来のT細胞の増殖能は低下し、TNF-α、IFN-γ、IL-17などの炎症性サイトカインの産生は有意に抑制されていた。また、同群ではEAEが有意に軽症化した。 【考察】抗生物質投与による腸内フローラの変化が腸管上皮や抗原提示細胞などを介して宿主の腸管免疫システムを修飾し、さらに腸管膜リンパ節を介してsystemicな免疫システムに影響を及ぼしている可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2007 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top