主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
最近の基礎的研究により、IL-17産生で特徴づけられるTh17というCD4細胞群が関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患の病態に重要であることが明らかになってきている。また、Th17への分化誘導において、IL-6の存在の有無が分化の方向性を決定するのに重要であると報告されている。今回、われわれはRAのモデルマウスであるコラーゲン誘導性関節炎(CIA)を用い、Th17細胞のはたす役割とともに抗IL-6レセプター抗体(MR16-1)療法の作用機序について検討を行った。まず、CIAにおけるIL-17の役割について検討したところ、CIA誘導後マウスのリンパ節においては、Th1細胞よりもTh17細胞が優位であった。一方、CIA誘導初日(day0)にMR16-1投与を行うと、関節炎抑制効果とともにリンパ節のTh17細胞に減少がみられた。また、in vitroにおけるコラーゲン刺激によってリンパ節細胞から産生されるIL-17は、MR16-1投与群において著明に抑制されていた。しかしながら、以前の報告と同様にMR16-1投与を遅らせる(day14)と関節炎抑制効果がみられず、IL-17に対する抑制効果もほとんどみられなかった。これらの結果から、IL-6を標的とする関節炎疾患治療においては、サイトカインによる炎症の緩和以上にTh17免疫応答の制御が作用機序として重要であるものと考えられた。