主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
レミケードは結核発症を引き起こすという報告以来、結核は再び脚光を浴びるようになった。世界の人口の3分の1が結核感染をしていることから結核は抗TNF-α製剤を投与する上で念頭に置かなければならない感染症である。 レミケードにて結核を発症した場合、レミケードを中止して抗結核薬を投与するが、結核、関節リウマチの活動性が治療により悪化するparadoxical responseが報告されておりその治療は難渋を極める。 我々は、レミケードにて結核発症して結核加療により活動性があがった関節リウマチ患者に、抗結核薬を投与することにより結核再燃することなしにレミケードを投与できることを示した(N. Engl. J. Med. 2006)。2007年11月現在3年経過するが結核再燃兆候は認められていない。また、この患者は2006年4月に人工関節置換術を受けたが、切除後の股関節病変からは結核病変は見いだせなかった。さらに、新たに、2名の結核発病関節リウマチ患者に対して、結核薬を投与しながらレミケードを投与した。現在結核再燃兆候は認められていない。これらのことより有効な結核加療の元では、レミケードは結核の発病なしに投与できる可能性が示された。