主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
(目的)SKGマウスは、RAに酷似した自己免疫性関節炎を自然発症するモデルマウスである。一方FTY720は、S1P1受容体アゴニストであるが、S1P1依存性の胸腺および二次リンパ系組織からのT細胞の移出を阻害し、循環T細胞の著しい減少を誘導するため、免疫反応部位へのT細胞の浸潤量を減少し、免疫抑制作用を発揮する。今回我々はSKGマウスにFTY720を投与し、関節炎の抑制効果を検討した。(方法)SKGマウスにFTY720を連日経口投与し、経時的に関節腫脹スコアを記録した。また投与開始後4週目・8週目に、末梢血中リンパ球、胸腺・脾臓の細胞数、胸腺・脾臓の各細胞のFACS、腫脹関節のXp写真を、対照群と比較して検討した。(結果)FTY720投与群では、対照群と比較して8週目における関節腫脹スコア・末梢血中リンパ球の比率が有意に低下し、胸腺の細胞数が増加する傾向が認められた。FACS解析では、4週目・8週目とも脾臓におけるCD4+T細胞、CD8+T細胞、Tregの比率が有意に低下し、CD19+細胞の比率が上昇していた。また胸腺ではCD4+T細胞、Tregの比率が上昇していた。対照群では腫脹関節のXp写真において著明な骨破壊が認められたが、FTY720投与群では殆ど認められなかった。(考察)FTY720投与により循環CD4+T細胞が減少し、関節局所における炎症が抑制されることが示唆された。