日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-38
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一般演題(ポスターワークショップ)
小児のインフルエンザA(H1N1)2009感染における血清中IgE、サイトカインの検討
*水野 由美田中 珠美原 寿郎
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抄録

目的:インフルエンザA(H1N1)2009では基礎疾患として気管支喘息を持つ小児での重症化が報告された。小児インフルエンザA(H1N1)2009感染症の呼吸器合併症の病態を解析するために血清中IgEおよび血清中サイトカインと臨床症状の関連について検討した。 方法:当科に入院しPCRで診断したインフルエンザA(H1N1)2009患者で血清IgEを測定した207人。合併症は呼吸器合併症(肺炎、喘息発作・気管支炎)111人、神経合併症(熱性けいれん、異常行動・異常言動)43人、合併症なしが53人だった。91人の患者の血清IFN-γ, TNF-α, IL-1β, IL-2, IL-4, IL-6, IL-8, IL-10 およびIL-12p70 を CBA(cytokine beads assay)、血清IL-13,IL-17,IL-23をELISA kitを用いて測定した。 結果:血清IgEは呼吸器合併症群では神経合併症および合併症がない群に比較して有意に高値で、呼吸器合併症では低酸素血症がある群でない群より有意に高値だった。低酸素血症がある群では、喘息等のアレルギー性基礎疾患がない群でもIgEが有意に高値だった。IL-6は呼吸器合併例で低酸素血症がある群ではない群より有意に高値だった。IL-13は低酸素血症がある群ではない群に比較して高い傾向が、IL-17およびIL-23低い傾向があったが有意差はなかった。 結語:血清IgEとIL-6は小児インフルエンザA(H1N1)2009患者で低酸素血症を伴う患者では伴わない患者に比較して有意に高値で、呼吸器合併症の重症化の指標の1つになるものと考えた。呼吸器合併症患者で低酸素血症をともなう群では、アレルギー性基礎疾患がない患者でもIgEが有意に高値だったが、機序についてはさらに検討が必要である。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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