【症例】40歳、女性【現病歴】17歳でSLEと診断され近医で加療。平成20年1月、交通事故で近医脳神経外科入院。入院後12時間目に頭痛と意識障害を生じ、くも膜下出血(SAH)と診断され当院紹介受診となった。SAHに対して血管内塞栓術が施行されたが、同時に脳血管の不整・途絶を認めた。抗ds-DNA抗体高値、低補体などSLEの疾患活動性も高いため、SLEによる血管炎と診断し、PSL20mg/日およびタクロリムスで加療、軽快退院した。平成21年9月、突然のめまいが出現。近医で多発小脳梗塞と診断され、入院加療により症状は改善した。その後、発熱、低補体など、原疾患の再燃が疑われたため当院転院となった。【経過】転院後、PSL20mg/日に増量後、発熱は改善したが、第3病日に再度突然のめまいと嘔吐が出現。頭部MRAで再び脳血管壁の不整を認めた。ステロイド大量療法およびプログラフを開始し、症状は速やかに改善した。頭部MRAで再び脳血管壁の不整も改善した。【考察】本例ではSLEの活動性に一致した脳血管障害を認め、免疫抑制療法で改善した。脳血管障害の原因として、SLEに合併した血管炎が疑われ、タクロリムスの併用が有効であった。NPSLEにおいて血管炎の存在が画像的に証明され、タクロリムスが有効であるとする報告は稀である。血管炎におけるタクロリムスの役割等も含め、若干の文献的考察を含めて報告する。