抗リン脂質抗体症候群(APS)はHughesらによって提唱された抗リン脂質抗体陽性かつ、血栓症や妊娠合併症を発症する疾患である.APSは全身性エリテマトーデスや混合性結合組織病(MCTD)など自己免疫性疾患にしばしば合併し、これらは二次性APSと呼ばれる.またAPSの中に微小血栓から短期間に多臓器不全をきたす劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)という概念が近年注目されている.今回我々は、MCTDに合併した間質性肺炎急性増悪に対するステロイド療法中、治療に抵抗して呼吸不全で死亡した一例を経験した.しかしながら、剖検所見から、画像上間質性肺炎を疑っていた病変は、肺静脈血栓および巣状出血性病変と判明した. また、血栓症による多臓器不全を呈したため、CAPSと診断した。APSによる血栓症が間質性肺炎類似の所見を呈することは稀である.しかし膠原病において血栓症と間質性肺炎両者とも重要な合併症であり、治療が異なるためその鑑別は大変重要である。今回、文献学的考察も含め報告する.