日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第39回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: PW-55
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一般演題(ポスターワークショップ)
ステロイド抵抗性の成人発症スティル病(AOSD)に対しトシリヅマブ(TCZ)が奏功したNeuropsychiatric Systemic Lupus Erythematosus (NPSLE)の1例
*宮崎 佑介名和田 雅夫齋藤 和義河邊 明男好川 真以子平田 信太郎辻村 静代山岡 邦宏田中 良哉
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抄録

症例は37歳男性。2000年頬部紅斑、光線過敏、抗ds-DNA抗体・抗核抗体陽性よりSLEと診断され経過観察されたが、2004年左片麻痺・痙攣出現し髄液IL-6・IgG index高値ありNPSLEと診断。ステロイドパルス・IVCY施行にて、NPSLEの疾患活動性は制御された。2010年4月発熱が出現、同月当科紹介受診したが次第に39℃を越す発熱となり、咽頭痛、関節痛も出現したため7月当科入院。サーモンピンク疹、フェリチン高値、肝腫大よりAOSDの併発と診断。GC大量・ステロイドパルス療法施行するも、発熱、関節痛、フェリチン・CRP高値は全く改善しなかった。治療抵抗性AOSDに対し、血清IL-6 175pg/mlと高値であったことから患者・家族にIC取得の上、7月14日TCZ 8_mg_/kgを2週間隔で開始した。一旦CRP/フェリチンも改善認めたが、熱型再増悪、血清IL-6 1722とさらに上昇しておりIL-6の制御が不十分であると考えられTCZ投与を 1週間隔に短縮したところ、解熱、関節症状改善、血清IL-6減少・フェリチン陰性化を認めた。以降、MTX8mg/週併用にてAOSDの再燃なくTCZ投与間隔を4週間に延長、ステロイドもNPSLEの再燃を認めることなく減量しえた。SLEに合併したAOSDにTCZが奏功した報告は現在のところ認められていない。今回、治療抵抗性のAOSDに対し血清IL-6をモニタリングしながらTCZにて加療を継続し疾患活動性の制御が得られた貴重な症例を経験したので報告する。

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© 2011 日本臨床免疫学会
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