【症例】69歳女性。【主訴】両下腿浮腫と点状紫斑。【現病歴】入院約1年前より両手指、両足趾関節に圧痛と腫脹を自覚し、近医で関節リウマチと診断された。その後メトトレキサート、ブシラミンで治療が開始となったが、関節炎の軽快は得られなかった。入院約6か月前に両下肺野に間質性肺炎を指摘され、メトトレキサートを中止し、アダリムマブ(ADA)を開始した。入院約1か月前より両下腿に浮腫と点状紫斑が出現し、その後に乏尿と腎機能悪化を認めた。急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を疑われ当科紹介入院となった。RPGN、間質性肺炎、MPO-ANCA陽性から顕微鏡的多発血管炎と診断した。また抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)も陽性であった。ステロイドパルス療法、血漿交換、シクロホスファミド内服で寛解導入を行い、MPO-ANCA、抗GBM抗体ともに陰転化した。その後ADA投与前の血液検査からMPO-ANCA陽性、抗GBM抗体陰性の結果が得られた。【考察】ADA投与により抗GBM抗体が陽転化した可能性が考えられる。ADA投与後に抗GBM抗体の出現を認めた報告はなく、貴重な症例と考え報告する。