我々は、側頭動脈炎及びリウマチ性多発筋痛症の臨床像を呈したが、間質性肺炎、糸球体腎炎などの重篤な臓器障害を来し、MPO-ANCA陽性などから最終的に顕微鏡的多発血管炎の診断に至った症例を複数経験したので、報告する。症例1は80歳女性。両側頭部痛を主訴に来院し、蛋白尿、血尿を伴う急速進行性糸球体腎炎とMPO-ANCA高値を認めた。側頭動脈生検では、側頭動脈の内膜肥厚と弾性板の増生・断裂、炎症細胞浸潤を認めた。症例2は81歳男性。数年前より間質性肺炎を指摘。その後、両側頭部痛が出現し、MPO-ANCA高値を認め、側頭動脈生検では、側頭動脈に伴走する小動脈にフィブリノイド壊死と炎症細胞浸潤を認めた。症例3は68歳男性。両側頭部痛と全身の筋痛を主訴に来院し、蛋白尿、血尿、MPO-ANCA高値を認めた。側頭動脈生検では、側頭動脈本枝の一部と分岐する小動脈壁に炎症細胞浸潤、肉芽腫性血管炎の所見があり、腎生検にて半月体形成性糸球体腎炎を認めた。いずれも顕微鏡的多発血管炎と診断し、プレドニゾロン1mg/kg/日にて治療を開始したところ、症状は改善し、MPO-ANCAも陰転化した。側頭動脈炎様の臨床像を呈する症例の中には、細小血管炎を呈するものもあり、臓器障害やMPO-ANCAの有無につき評価する必要がある。