背景 再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis:RP)は、軟骨組織の広範で進行性の炎症と破壊を特徴とするまれな疾患である。臨床所見は、耳介軟骨炎、鼻軟骨炎、気道軟骨炎、さらに関節病変等が認められる。特に気管軟骨炎は患者の予後を左右する重要な病態である。治療はステロイドを中心に行われるが、再発を繰り返す治療抵抗性の症例もあり様々な免疫抑制療法が試みられている。 目的 ステロイド等の既存の治療に抵抗性のRP患者に対して、抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体infliximab(IFX)を用いて治療し、その有用性を臨床的に検討する。 方法 対象はMcAdamまたはDamianiの診断基準を満たす治療抵抗性のRP患者とした。対象患者(および保護者)にはIFXの使用に関して十分なインフォームドコンセントを行い、学内の倫理委員会の承認を得て使用した。IFXの用法・用量は関節リウマチに準じて使用した。 結果 IFXは気管軟骨炎を有するRP患者2例(16才女性と16才男性)に使用された。前者は、約7年間 IFXにより疾患の活動性をコントロールすることができた。しかし、後者はIFX無効であった。 考察 治療抵抗性のRPにはIFXが有効な選択肢の1つであると考えられた。今後の症例の蓄積が期待される。