臨床神経生理学
Online ISSN : 2188-031X
Print ISSN : 1345-7101
ISSN-L : 1345-7101
特集 「小児神経生理学の進歩」
NIRSを用いた小児の前頭葉機能評価
石井 佐綾香反頭 智子加賀 佳美相原 正男
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 46 巻 3 号 p. 132-138

詳細
抄録

小児の前頭葉機能検査試行中の脳活動を, 非侵襲的で体の向きや位置に制約が少ない近赤外線スペクトロスコピー (near-infrared spectroscopy; NIRS) を用いて測定した。語の流暢性課題と後出し負けじゃんけん課題試行中の前頭部酸素化ヘモグロビン濃度 [oxy-Hb] を測定し, 前頭葉機能の発達変化について検討した。また, 後出し負けじゃんけん課題においては注意欠陥多動性障害 (Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder; ADHD) について定型発達児と比較検討した。語の流暢性課題試行中の前頭部 [oxy-Hb] は, 年齢とともに有意に上昇した。後出し負けじゃんけん課題では, 成人は前頭前外側部に上昇が限局する傾向を認めたが, 低年齢群では広範な上昇を認めた。後出し負けじゃんけん課題試行中の前頭部[oxy-Hb]はADHDでは定型発達児より有意に低かった。NIRSは小児の前頭葉機能の評価において簡便で有用な検査法であると考えられる。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top