てんかん性の真の陽性棘波は比較的稀であり, 小児の先天性脳疾患や急性脳病態とその後の慢性期, 成人の脳外科術後や開放性脳損傷後などに認められる。一方, 耳朶活性化による見かけ上の陽性棘波には頻繁に遭遇する。両者の鑑別には, 導出法ごとに正しく解釈する必要がある。本例は左前頭頭頂部円蓋部髄膜腫と両側扁桃体腫大があり, 脳波で病変に伴う真の陽性棘波と耳朶活性化との鑑別を要した。耳朶活性化の判読には, 耳朶基準導出 (耳朶の電極活動が広く反映される), 横方向双極導出 (耳朶の電極活動を個別に評価できる), および平均基準導出 (耳朶の活性化に拘らず最大点を「見える化」できる) が有用である。特に, 真の陽性棘波との鑑別には, 耳朶基準導出と平均基準導出が有用と考えられる。実臨床では, 基本的な脳波所見であっても, 画像所見などの複数因子によって判読や解釈が困難となりうるため, 導出法の変更を含めた合理的な検討が肝要である。
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