臨床神経生理学
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原著
  • 菅野 秀宣, 飯村 康司, 伊藤 信太郎, Akter Most.Sheuli, 田中 聡久
    2020 年 48 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    【目的】エントロピーを用いたてんかん焦点診断の有効性を検討した。【方法】実験1: 発作間欠期皮質脳波をδ, θ, α, β, γ, ripple, fast ripple帯域に分け, 各種エントロピーを用いて発作起始部位同定に対する相互情報量を計算した。実験2: 100 Hz以上の高周波帯域において, 線形判別分析より選択したエントロピーを用いて, 発作起始部位同定をsupport vector machineで10–分割交差検証にて行った。【結果】実験1: 高周波帯域における相互情報量が高値で, 近似およびサンプルエントロピーが有用であった。実験2: 選択エントロピーで10–分割交差検証を行った際のAUCの平均は0.75であった。感度の平均は37.5%, 特異度は87.5%であった。【結論】皮質脳波の発作起始部位同定には, 高周波律動帯域においてエントロピーを用いる方法が有効であった。

  • 露口 尚弘, 伊賀崎 伴彦, 村山 伸樹
    2020 年 48 巻 3 号 p. 113-120
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    最近の研究では, 言語野のネットワークに関して前方言語野 (Broca) と後方言語野 (Wernicke) を結合する弓状束ばかりでなく, 上縦束や下前頭後頭束など多岐にわたるネットワークの存在が明らかにされている。脳磁図 (MEG) を用いた報告によれば, 言語課題により前方言語野にβおよび低γ波帯活動が検出されている。しかし, 後方言語野を含めたネットワークは完全には解明されていない。本研究では, MEGを用いて言語機能ネットワークを虚部コヒーレンスにて検討した。その結果, 黙読課題でβ波帯域と低γ波帯域で前方言語野と側頭葉後方の結合性が高く, 高γ波帯域では運動野と強い関連性を認めた。後方言語野とコヒーレンスが強い部分は, 全帯域で前頭葉や側頭葉に認めたが, その範囲は広く, 特異性は明瞭ではなく各被験者で様々なパターンを示した。これは, 臨床的な言語機能評価における個別解析の重要性を示唆した。

症例報告
  • 秋山 翔太, 大栗 聖由, 山田 博之, 斎藤 義朗, 池口 拓哉, 佐藤 研吾, 廣岡 保明, 小河 佳織, 樋本 尚志, 前垣 義弘
    2020 年 48 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    不思議の国のアリス症候群 (Alice in Wonderland syndrome; AIWS) は, 特殊な視覚症状を生じる症候群であり, 片頭痛や感染, てんかんなどに併発することが多く, ヒステリーなどの精神疾患と誤って診断されやすい。今回われわれは, 定型小児欠神てんかん寛解後に異常な視覚症状を呈しAIWSと診断された10歳女児に対して視覚誘発電位 (VEP) を行い, giant VEPの所見を記録できた症例を経験した。本症例は朝方の視野の歪み, 目のぼやけ, ものが大きくまたは小さく見えるといった視覚症状を有し, てんかんの既往歴を認めた。パターンリバーサルVEP検査において潜時は正常であったが, Cz–Oz誘導においてN75–P100およびP100–N145に高振幅なgiant VEPを認めた。また, SPECTにおいて右頭頂葉に軽度血流低下を認めた。これらのことから, giant VEPはてんかん既往による皮質興奮性上昇を反映した結果と考えられた。AIWSに特異的な視覚症状を認めた場合, 精神疾患と鑑別するための補助的診断法としてVEPやSPECTを併用することで, より正確な診断を導き出すことができるのではないかと考えた。

特集 「ICUAWの診断と治療 up to date」
  • 今井 富裕
    2020 年 48 巻 3 号 p. 127
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー
  • 畑中 裕己
    2020 年 48 巻 3 号 p. 128-135
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー
  • 山田 崇史
    2020 年 48 巻 3 号 p. 136-140
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    医療技術の進歩による救命救急率の増大に伴い, 近年, 集中治療室 (ICU) に入室する患者数は増加の一途を辿っている。一方, ICU関連筋力低下 (ICUAW) と呼ばれる全身性の急激な筋力低下を呈するICU入室患者の数が増加し, 深刻な問題となっている。ICUAWは, 重症疾患ミオパチー (CIM) とポリニューロパチーに大別され, 敗血症, 人工呼吸管理の長期化, 不活動, ステロイド投与など, 様々な要因が関与する複雑な病態を有している。これまで, CIM患者では, 筋量の減少に加え, 単位断面積当たりの張力 (固有張力) の著しい低下が生じ, そのメカニズムには, 1) 細胞膜の興奮性低下とそれに伴う筋小胞体からのCa2+放出量低下, 2) クロスブリッジの張力産生能力の低下が関与すること, また, それらの要因として, 炎症性因子や不活動性因子により誘引される酸化ストレスが重要な役割を果たすことが示されている。

  • 山本 大輔
    2020 年 48 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    ICUAWの病態は複雑であるが, その一つに興奮収縮連関障害が関与していると考えられている。しかし容易に評価することができず, 患者を対象としたin vivoでの報告がなされてこなかった。ヒラメ筋の複合筋活動電位 (CMAP) と加速度センサーを用いて足関節の底屈運動を運動誘発波形 (MRP) として記録すると, CMAPとMRPの立ち上がり潜時差から興奮収縮連関時間 (ECCT) を, MRPの最大振幅から筋の最大単収縮力に対応する最大加速度を計測することができる。ICUAW患者の中には, CMAPの振幅低下や持続時間の延長が生じる前からECCTの延長やMRPの振幅低下を呈する例を認め, ICUAWの病態には重症疾患罹患後の比較的早期に興奮収縮連関障害が関与していることが明らかになった。そして時間経過とともに複数の病態が複雑に関与していくことが予想された。

  • 蜂須賀 明子, 二宮 正樹, 佐伯 覚
    2020 年 48 巻 3 号 p. 146-151
    発行日: 2020/06/01
    公開日: 2020/06/01
    ジャーナル フリー

    近年, 敗血症など重症疾患による治療でICUへ入室後, 急性に左右対称性の四肢筋力低下を呈する病態がICU acquired weakness (ICU-AW) として知られる。また, ICU在室中あるいはICU退出後, 退院後に生じる身体機能・認知機能・精神機能の障害について集中治療後症候群 (Post-Intensive Care Syndrome: PICS) という概念が提唱され, ICU-AWはPICSの身体機能障害に含まれる。ICU-AWによる筋力低下は, 患者のADLやQOLを低下させることから, 適切な診断や治療, 予防が重要である。現時点で, ICU-AWの特異的な予防や治療はないが, 早期リハビリテーションと電気刺激療法の効果が注目される。またPICSの予防や治療として, ABCDEFGHバンドルと呼ばれる人工呼吸器装着患者の包括的な管理指針があり, その中にも早期リハビリテーションが含まれる。

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