臨床神経生理学
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原著
  • 吉岡 明治, 野寺 裕之, 山口 聡子, 嶋田 昌司, 上岡 樹生
    2025 年53 巻6 号 p. 643-650
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    我々は超音波検査 (US) にMRI画像を同期させるFusion Imaging技術を用いて筋生検部位の決定を試みた。【方法】生検直前に生検体位でMRIおよびUSを施行した。MRIの撮像法は脂肪抑制T2強調像で, 対象筋にマーカーを貼付して撮像を行った。USはマーカー部でMRIと位置を合わせて, USにMRI画像を同期させた。MRIの異常所見を生検部としてUS下でマーキングを行い, 同部直下で開放生検を行った。【結果および考察】筋生検は大腿四頭筋および上腕三頭筋で施行した。病理組織像はいずれも筋炎に矛盾ない所見であり, 診断に適した組織採取が出来ていた。上腕三頭筋ではMRIの異常所見が限局性であったが, 病変部を正確に同定可能であった。USは走査手技や所見解釈が検者の技量に左右されるが, MRIと同期させることで客観的な評価が可能である。USとMRIのFusion Imagingにより, 筋生検の診断精度向上が期待できる。

症例報告
  • 山内 良祐, 伊藤 大輝, 片山 脩, 村田 伸, 兒玉 隆之
    2025 年53 巻6 号 p. 651-657
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    本研究では, 運動困難等により意思疎通に制限がある脳性麻痺児において母の児に対する声かけの文調の違いが与える神経生理学的影響を検証することを目的とした。対象は出生時体重2000 g, 在胎34週の低出生体重児である脳性麻痺の6歳女児。声かけは「問いかけ条件」と「教示条件」の2条件で行い, Fp1, Fp2, P3, P4の4チャンネルで脳波計測を実施した。解析にはWavelet Coherence解析を用い, 結果として, 母親の声かけが児の情動に影響を与え, 認知活動を促した可能性が示唆された。また, 「教示条件」では特定の声かけに注意を向け, 「問いかけ条件」では声かけ全体に集中する傾向が示唆された。本研究は, 声かけがリハビリテーションの効果や児の発達において重要な役割を果たす可能性を示唆するものである。

特集「検査機器の内部精度管理の考え方」
  • 植松 明和, 西村 とき子
    2025 年53 巻6 号 p. 658
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー
  • 川口 港
    2025 年53 巻6 号 p. 659-665
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    臨床検査室の品質と能力に関する要求事項を定めたISO規格がISO 15189: 2012であり, 第1版が2003年に制定され, 2007年に第2版, 2012年に第3版へと改訂された。さらにISO/IEC 17011: 2017 (JIS Q 17011: 2018) で「フレキシブルな認定範囲 (flexible scope) 」が新たに定義され, 認定機関がその管理に関する文書化した手順を持つことが要求事項となった。現在ではISO 15189: 20221) が2022年12月に改定・発行された。2015年4月には認定範囲に生理学的検査が新たに追加され, 生理学的検査についても要求事項に則った標準化や内部精度管理 (IQC: Internal Quality Control) を求められるようになった。ISO 15189を取得していない施設においても, 医療法の一部改正2) に伴い, 精度の確保に係る各種標準作業書・日誌等の作成が義務化され, 努力義務ではあるが, 内部精度管理についても求められており, 検体検査に限らず精度管理の重要性が増している。ISO 15189導入時の内部精度管理は, 生体を用いたところから始めたため, 被検者による影響が大きく, 管理範囲などを独自に設定し, 精度管理の方法に苦慮した。現在ではABRジェネレータ等の保守管理用機器で精度管理を行う方法もあるが, 脳波計の全てを評価しているわけではない。本稿では脳波検査を中心に生理学的検査の内部精度管理について説明する。

  • 木﨑 直人
    2025 年53 巻6 号 p. 666-671
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー
    日々の検査において決められた検査方法による精度の高いデータを出すこと,それを診断し治療に繋げることは当然重要である。医師は検査データを精査し診断・治療するということが仕事であるが,検査技師は精確な検査を行うことの他に,検査機器の管理も重要な仕事となる。これからの時代は精度管理(点検)されていない検査機器で出されたデータは信頼性が得られず,診断・治療に影響が出る可能性もある。検体検査部門では日常的に行われている精度管理だが,生理機能検査では検査機器の精度管理に関しては遅れている部分である。脳波計で日常的に行うことができる機器が開発されたことで精度管理の必要性および重要性を解説する。
特集「脊磁図,末梢神経磁図,筋磁図の臨床応用の可能性」
  • 安藤 宗治, 川端 茂徳
    2025 年53 巻6 号 p. 672
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー
  • 橋本 淳, 川端 茂徳, 東川 尚人, 足立 善昭, 吉井 俊貴
    2025 年53 巻6 号 p. 673-678
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    神経磁界計測 (脊磁図) は, 脊髄や神経根の電気活動を非侵襲的に可視化する新しい神経機能評価法である。従来の画像診断や電気生理学的検査では困難であった椎間孔内外の詳細な神経機能評価も可能になってきている。今回, 大腿神経・伏在神経・外側大腿皮神経を用いた新たな末梢神経刺激法を開発し, 上中位腰椎レベルの椎間孔・馬尾神経の神経機能評価が実現した。外側大腿皮神経刺激はL2/3, 伏在神経刺激はL4/5椎間孔の評価に適し, 大腿神経刺激によって信号強度の大幅な増大が得られ, 胸椎評価にも有用と考えられる。脊磁図は, 脊椎脊髄疾患の診断精度向上および治療方針決定に寄与する新たな神経機能評価法として期待される。

  • 佐々木 亨, 川端 茂徳, 田中 雄太, 足立 善昭, 吉井 俊貴
    2025 年53 巻6 号 p. 679-686
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    われわれは, 末梢神経の機能評価に最適化した生体磁気計測装置を用いて, 神経磁界計測による上肢末梢神経の客観的機能評価法の開発に取り組んできた。今回, アーチファクト除去アルゴリズムの適応と, 空間フィルター法による等価電流の計算により, 手根管症候群, 肘部管症候群, 胸郭出口症候群患者の磁界計測に成功し, 末梢神経障害を詳細に可視化した。本手法は, 周囲の骨軟部組織の影響を受けにくく, 高い空間分解能を有し, 簡便にインチングも可能であり, 従来の電位計測の偽陰性を軽減できる可能性が示唆された。単純X線画像やMRI画像などの形態情報と, 神経電流のインチングを重ね合わせることもでき, 神経障害の機能・形態を横断的に結び付ける新たな診断基盤として, 術式決定にも有益となる可能性が考えられた。さらに, 軸索内電流と脱分極部の内向き電流を可視化することができ, 本手法は末梢神経障害診療に新たな道を拓く技術となることが期待される。

  • 大谷 泰, 赤座 実穂, 夏井 洋和, 叶内 匡, 川端 茂徳
    2025 年53 巻6 号 p. 687-693
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/03
    ジャーナル フリー

    筋の電気的活動は主に筋電図によって評価されてきたが, 磁場を計測することで新たな評価手法につながる可能性がある。我々は, 3方向の磁場成分を検出できる超電導量子干渉素子磁束計を円筒面に沿って上向きに132チャンネル配置した生体磁気計測装置を用い, 短母指外転筋の運動単位活動に伴う磁場を記録した。記録された磁場分布に対して空間フィルター法を適用し, 電流分布を推定することで運動単位活動の電流を可視化した。その結果, 運動単位活動の初期に神経筋接合部へ流入する電流が観察された。これは神経筋接合部付近で生じる活動を反映すると考えられ, 運動単位のサイズの指標になると考えられた。健常者と比較して運動ニューロン疾患患者では, 運動単位のサイズは大きく評価された。さらに, センサーと筋の距離が変化しても運動単位のサイズを安定的に評価できることが確認された。磁場計測は従来の針筋電図に代わる非侵襲的評価手法となる可能性が示唆された。

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