臨床神経生理学
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眼でみる臨床神経生理
  • 頭頂部腫瘍と両側扁桃体腫大側頭葉てんかんの併存例
    友田 陽子, 下竹 昭寛, 伊辻 花佳, 三宅 あかり, 池田 昭夫
    2026 年54 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    てんかん性の真の陽性棘波は比較的稀であり, 小児の先天性脳疾患や急性脳病態とその後の慢性期, 成人の脳外科術後や開放性脳損傷後などに認められる。一方, 耳朶活性化による見かけ上の陽性棘波には頻繁に遭遇する。両者の鑑別には, 導出法ごとに正しく解釈する必要がある。本例は左前頭頭頂部円蓋部髄膜腫と両側扁桃体腫大があり, 脳波で病変に伴う真の陽性棘波と耳朶活性化との鑑別を要した。耳朶活性化の判読には, 耳朶基準導出 (耳朶の電極活動が広く反映される), 横方向双極導出 (耳朶の電極活動を個別に評価できる), および平均基準導出 (耳朶の活性化に拘らず最大点を「見える化」できる) が有用である。特に, 真の陽性棘波との鑑別には, 耳朶基準導出と平均基準導出が有用と考えられる。実臨床では, 基本的な脳波所見であっても, 画像所見などの複数因子によって判読や解釈が困難となりうるため, 導出法の変更を含めた合理的な検討が肝要である。

特集「人と人とのコミュニケーション神経生理学」
  • 柳生 一自
    2026 年54 巻1 号 p. 5-6
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー
  • 研究動向と応用可能性
    韓 宇, 横澤 宏一
    2026 年54 巻1 号 p. 7-13
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    顔表情や視線をアバターで伝達しながら対話するアバターコミュニケーションが広まりつつある。本稿では, 行動学と神経科学の観点からこの新しいコミュニケーション様式の研究動向を概観した。行動学的研究では, アバターがより親密度が高い顔としてコミュニケーションを促進することを示す報告がある。一方, 神経科学的研究では, N170/M170の変調やリアル顔とは異なる感受性パターンなど, アバター特有の顔認知処理が報告されている。応用面では, 自閉スペクトラム症 (ASD) の顔認知処理負荷を軽減するため, アバターが情報量を調整し得る可能性が示唆される。さらに, 2者以上の脳機能を同時計測するハイパースキャニング技術は, アバターコミュニケーションの脳間相互作用を直接検討できる有力な手法となり得る。アバターを活用したコミュニケーション支援の有効性を科学的に評価することにより, 医療・教育・社会活動への応用を進めるための基盤が構築されると考えられる。

  • 渡辺 隼人
    2026 年54 巻1 号 p. 14-21
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    音楽は人類文化に普遍的に存在し, 言語と共通する情報処理・社会的機能をもつコミュニケーション媒体である。人と人とのコミュニケーション神経生理学, すなわちコミュニケーションの神経基盤を計測する上で, 音楽コミュニケーション (相互演奏) を用いることが有用である。また, 音楽コミュニケーションの神経生理学そのものが, 音楽療法の評価につながる可能性を有し, 今後の研究課題として望まれる。本稿では, 音楽コミュニケーションの神経生理学的基盤を概観し, 特にmagnetoencephalography (MEG) を用いた2者脳計測 (ハイパースキャニング) を用いた研究例と現状の限界を整理する。MEGハイパースキャニングにおいて, 脳間同期を検出するための手法についても検討する。

  • 池田 尊司
    2026 年54 巻1 号 p. 22-25
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    親子関係は社会的関係性の中でも原初的なものであり, 子どもの発達に重要な役割を果たしている。親子関係について研究する上では, 関係性の良し悪しをデータとして定量化する必要がある。定量化の手法として古くから簡便な方法である質問紙調査が用いられてきたが, 内観報告を基準としており主観性が侵入しやすいことに注意する必要がある。主観性を排し, 客観性を担保しうる手法には行動指標, そして心拍などの生理指標がある。ハイパースキャニングは複数名の脳活動を同時に計測する手法で, 脳間同期と親子関係についての研究がここ10年ほどで盛んになってきた。しかし, 子どもでも無理なく計測できる手法には制限があり, さらに成人と子どもという異なる発達段階における脳から生じる信号をどのように解析すべきかという問題は, 依然として未解決である。今後は脳神経系のモデリング研究などの隣接分野との協働が重要性を帯びてくるであろう。

  • 小池 耕彦, 小笠原 香苗, 沈 鈺蕾
    2026 年54 巻1 号 p. 26-30
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    Well-beingは個人の身体的・心理的な状態のみならず, 社会との相互作用によって形成される。そのため, Well-beingの全体像を理解するためには, その社会的な側面の背後にあるメカニズムおよび神経基盤を理解することが重要である。本総説ではまず, Well-beingにおける社会的側面, および社会的要因が個人と双方向的に相互作用する関係を理解することの重要性について, 先行研究を概観する。その上で, 二者以上の脳活動を同時計測して社会的相互作用の神経基盤を検討するハイパースキャニングの方法論が, Well-beingの社会的な側面の神経基盤を検討する有力な手法であることを示す。今後の研究の方向性としては, 社会が個人に感情的な影響を与える仕組みの解明, Well-beingな集団が形成されるメカニズムの理解, さらには他の学問領域との協働によりWell-beingな社会形成に貢献するための研究スキーマについて紹介する。

特集「ICU Critical Care EEG」
  • 池田 昭夫, 久保田 有一
    2026 年54 巻1 号 p. 31
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー
  • 〜2HELPS2BスコアとTERSEアルゴリズム〜
    吉村 元
    2026 年54 巻1 号 p. 32-35
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    救急や集中治療における脳波 (critical care EEG) の重要性は世界的に広く認識されている。中でも, 救急・集中治療患者には非けいれん性てんかん発作を高頻度に合併し, 発作が予後を悪化させるため, その迅速な検出と治療のためには持続脳波 (critical care continuous EEG [CCEEG]) が必要となる。CCEEGの運用には多大な労力を要するため, 医療資源の限られた我が国では効率的な運用が求められる。本稿では, 発作に関連する臨床・脳波リスク因子を用いて患者の発作リスクを層別化し, 発作検出目的での記録時間を適正化する2つの方法 (2HELPS2BスコアとTERSEアルゴリズム) を紹介する。我が国でも『Critical Care EEGの測定記録・判読指針』が公表され, 臨床現場での活用が望まれるなか, 記録時間を適正化がCCEEG普及の一助となることを期待する。

  • 渡邊 さつき
    2026 年54 巻1 号 p. 36-40
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    精神科臨床では, 意識障害や精神科救急の場面で脳波 (Critical Care EEG) が鑑別に有用となることがある。精神科救急では意識障害や興奮, 幻覚妄想を呈する患者に精神科医が対応する場面があり, 身体疾患の除外が診断の第一歩となる。脳波は精神疾患の診断自体には有用でないが, 意識障害の鑑別には重要である。精神疾患でみられる「昏迷」は意識清明度低下としての昏迷と異なり, 外界刺激への反応は保たれる点が特徴で, 統合失調症, うつ病, 解離性障害で認められる。精神医学的な昏迷では, 脳波は基本的に安静覚醒時と同様で, 徐波化を示さず, 非けいれん性重積や脳炎などの器質性疾患との鑑別に役立つ。

  • 大友 智, 加藤 量広
    2026 年54 巻1 号 p. 41-46
    発行日: 2026/02/01
    公開日: 2026/02/05
    ジャーナル フリー

    神経救急や集中治療領域で行われるCritical Care EEG (CCEEG) の最大の目的は非けいれん性てんかん重積 (NCSE) の検出である。CCEEGの判読には米国臨床神経生理学会 (ACNS) Standardized Critical Care EEG Terminologyが用いられ, NCSEの臨床診断にはSalzburg criteriaが用いられる。NCSEに関連する箇所はACNS Terminology 2021年版とSalzburg criteriaが統合された形となっており, NCSEの脳波診断を行うためにはACNS Terminologyに基づいて判読することが必要になっている。NCSEは治療介入することで予後改善効果が期待でき, CCEEGを行う意義は大きいと考えられる。CCEEGを適切に施行し診断や治療を的確に行うためにも, 診断基準や適応範囲を理解しておくことが重要と考えられる。

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