臨床神経生理学
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原著
  • 田中 聡, 橋本 亮, 秋元 治朗, 高梨 淳子, 岡 秀宏
    2019 年 47 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    術中運動誘発電位 (motor evoked potential, MEP) モニタリングは広く行われているが, その結果の解釈には議論が多い。脊椎脊髄手術における術中MEPモニタリングに関して, 術前にMMT 2/5以下の麻痺を認めなかった脊椎脊髄手術349回において術後新たな麻痺を生じる振幅低下率, および圧迫性脊髄障害除圧術130回と圧迫性馬尾神経障害除圧術185回においてJOAスコアが術後改善する振幅上昇率のカットオフ値を末梢神経刺激複合活動電位 (compound muscle action potential, CMAP) による補正の有無それぞれに関して, receiver operation characteristic (ROC) 解析により算出した。術後新たな麻痺を生じるカットオフ値はCMAP補正なしでは80.6%の振幅低下 (感度100%, 特異度96.2%), CMAP補正有では77.9%の振幅低下 (感度100%, 特異度96.8%) であった。圧迫性脊髄神経障害除圧術130回において術後JOAスコアの改善を認めるカットオフ値はCMAP補正なしでは50.6%の振幅相対率 (感度88.3%, 特異度70.0%) であり, CMAP補正下では64.4%の振幅相対率 (感度75.8%, 特異度90.0%) であった。圧迫性馬尾神経障害除圧術185回において術後JOAスコアの改善を認めるカットオフ値はCMAP補正なしでは17.9%の振幅増加率 (感度50.0%, 特異度72.4%) であり, CMAP補正下では11.4%の振幅増加 (感度100%, 特異度58.0%) であった。末梢神経刺激CMAPによるMEP振幅の補正は, 圧迫性脊髄神経障害手術において術後神経症状の改善を予測する上では有用であった。

  • 橋本 洋章, 平田 雅之, 亀田 成司, 吉田 史章, 栁澤 琢史, 押野 悟, 吉峰 俊樹, 貴島 晴彦
    2019 年 47 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    嚥下には脳の多領域が関与することがわかっているが, 数ミリ秒単位で実行される嚥下運動に対応し脳活動が数ミリ秒単位でどのように変化していくかは未だ明らかにされていない。そこで中心溝外側領域を覆うように頭蓋内電極を留置した難治てんかん患者1名の協力を得て, 水2 mlを自由嚥下した際の脳活動を記録した。高周波脳律動であるHigh γ帯域に注目し脳活動を解析した。開口運動時や水の口腔内注入時には中心前回, 中心後回の外側領域においてHigh γ活動が出現するが, 嚥下実行時には中心溝外側端と外側溝の間の脳回である中心下回と前頭弁蓋部でHigh γ活動が出現した。本研究はHigh γ帯域活動を経時的に計測することにより, 嚥下に関連した大脳皮質活動が時空間的に変化することを示している。口の運動や水の口腔内注入により一次感覚運動野の口腔領域が活動し, 嚥下運動時には中心下回と前頭弁蓋部が主に活動すると考えられる。

  • 紀戸 恵介, 谷口 浩一郎, 丸本 圭一, 濱野 利明, 立花 直子
    2019 年 47 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    目的: 終夜パルスオキシメトリ (pulse oximetry, POx) により算出されるpulse rate rise index by more than six beats per hour (PRRI-6) を閉塞性睡眠時無呼吸 (obstructive sleep apnea, OSA) のスクリーニングに使用する場合, 自律神経障害により脈拍変動が小さい可能性がある糖尿病 (diabetes mellitus, DM) 患者でも利用できるかどうかを検討する。対象: 2014年4月–2016年4月に当院臨床検査部でPOxを実施した449例中, 3% oxygen desaturation index (ODI-3) が15以上の糖尿病群 (DM群) 51名 (男40, 女11, 57.3±12.3歳) および非糖尿病群 (Non-DM群) 57名 (男45, 女12, 59.6±12.5歳) を対象とした。方法: ODI-3とPRRI-6を解析対象とした。心房細動など脈拍が一定しない7例と自律神経障害が必発であるレビー小体型認知症およびその疑い例の2例は除外した。結果: ODI-3およびPRRI-6はDM群で31.5±15.2, 29.7±18.9, Non-DM群で30.0±17.5, 31.7±19.6であった。ODI-3とPRRI-6におけるSpearmanの順位相関係数 (rs) は, Non-DM群はrs=0.58, DM群で罹患年数10年未満はrs=0.71, 10年以上はrs=0.28であった。結論: PRRI-6をOSAのスクリーニングに利用する場合, 糖尿病罹患年数を考慮に入れる必要がある。

  • 福本 悠樹, 鈴木 俊明, 岩月 宏泰
    2019 年 47 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    対象は健常者10名である。運動イメージの前後で50%MVCに正確かつ素早く調節させるピンチ課題を与え, 運動の正確さと素早さを比較した。安静試行と運動イメージ試行での脊髄前角細胞の興奮性の指標は, 母指球筋からF波により評価した。なお, F波記録はそれぞれの試行中に行った。F波の結果は, 安静試行と比較した運動イメージ試行にて出現頻度が増加した。また全ての被験者は, 運動イメージ後に運動の正確さが低下したが運動の素早さが向上した者と, 低下した者とにわかれた。そして運動の素早さが向上する者ほど運動の正確さが低下する傾向を認め, 運動の正確さが著明に低下する者では, 安静試行と比較した運動イメージ試行での出現頻度変化量が4%以下または17%以上で, 振幅F/M比変化量が0.5%以上という特徴があった。以上より, 運動イメージが運動の正確さの低下を防ぐ際には, 運動イメージ時の出現頻度が4~17%ほど増加し, 振幅F/M比も0.5%未満で増加する可能性がある。

特集 「脳波が主役:意識障害・神経救急の診断学」
  • 重藤 寛史
    2019 年 47 巻 1 号 p. 34
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー
  • 久保田 有一, 中本 英俊, 江川 悟史, 福地 聡子, 川俣 貴一
    2019 年 47 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー
  • 下竹 昭寛, 松本 理器, 人見 健文, 池田 昭夫
    2019 年 47 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    意識障害の患者において代謝性脳症は比較的よく遭遇する病態であり, 脳波はその診断と病勢の把握に有用である。代謝性脳症の脳波所見は, 意識障害の程度と関係して, 基礎律動・後頭部優位律動の徐波化や消失, 間欠的律動性または持続性高振幅の全般性デルタ活動, 三相波 (Triphasic wave) を呈する場合もある。三相波は, 陰–陽–陰の三相性からなる特徴的な波形で, 肝性脳症を含む代謝性脳症で認めることが多い。中毒の脳波所見の中に両側同期性の全般性周期性放電 (Generalized Periodic Discharges (GPDs) ) を呈するものがある。薬物関連では, 炭酸リチウム, テオフィリンなどが挙げられ, セフェピム脳症によるものも知られる。三相波/GPDsにおいては, 非けいれん性てんかん重積 (NCSE) の可能性についても常に念頭に置く必要がある。代謝性・中毒性脳症の脳波は原因検索に必ずしも特異的な所見を示すわけではないが, 特徴的な脳波所見を示す場合があり, また非侵襲的に早期から病態の客観的な評価が可能であり, 積極的に活用すべきである。

  • 吉村 元, 松本 理器, 池田 昭夫, 幸原 伸夫
    2019 年 47 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    意識障害患者の診療において脳波は非常に有用な臨床検査である。一方で, 誤って解釈すると診断や治療に大きな影響を及ぼしうる。本稿では, 特に高齢者を対象に, 意識障害患者における脳波の有用性と注意点を, ①客観的な脳機能評価, ②非けいれん性てんかん重積状態 (NCSE) の診断, ③三相波の解釈の3点に関して概説する。すなわち, 高齢者は詳細な神経学的診察が難しいことも多く, 脳波は意識障害時の経時的な客観的脳機能評価に有用である。また, 高齢者はNCSEの頻度が高いが, その診断には脳波が必須であり, 近年ザルツブルグ基準が診断基準としてよく用いられている。最後に, 三相波は従来代謝性脳症と関連する波形と考えられてきたが, 近年ictal-interictal continuumとしての意味合いもあることが分かり, その解釈には注意を要する。神経救急・集中治療の分野で脳波が益々有効かつ適切に活用されることが期待される。

  • 夏目 淳, 大野 敦子, 山本 啓之, 城所 博之, 沼口 敦
    2019 年 47 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    救急・ICU管理において脳波モニタリングが有用な疾患として, 感染などを契機に発症する急性脳症がある。「二相性発作と遅発性拡散能低下を示す急性脳症 (AESD) 」と呼ばれる急性脳症は, 発症時は熱性けいれん重積と鑑別が困難で, 数日後に二相目の発作群発が起こるとともに高度の大脳白質の浮腫が出現する。発症時のMRIでは異常がみられないため, 早期の熱性けいれんとの鑑別のために脳波が重要である。またICUで鎮静下に治療を行うため臨床観察のみでは発作の診断が困難で, 脳波モニタリングが治療の指標になる。近年は急性脳症に対して低体温療法を試みることが増えており, 低体温療法中の脳波所見も知っておく必要がある。これらのICU脳波モニタリングにはamplitude-integrated EEGやdense spectral arrayなどのトレンドグラムが有用である。

  • 本多 満, 一林 亮, 鈴木 銀河, 杉山 邦男, 坂元 美重, 奥寺 敬
    2019 年 47 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2019/02/01
    公開日: 2019/03/08
    ジャーナル フリー

    〔背景〕神経救急・集中治療におけるモニタリングである脳波を, 時間外あるいは休日に意識障害患者が来院しても医師あるいは看護師により容易に施行することを可能とする簡易的脳波測定デバイスの開発を, 2013年より日本臨床救急医学会ACEC委員会と日本光電社との共同研究により開始した。〔経過および現況〕開発に際して, ERにおける意識障害患者に対して脳波測定に不慣れな医療従事者においても簡単かつ迅速に脳波測定ができることを目標とした。これらをみたすデバイスを作製して脳波データをBluetooth® でモニターに電送してモニタリングすることが可能となった。〔今後の展望〕現在当施設において完成機が導入されているが, 脳波の評価の難しさなどにより脳波に不慣れな医療従事者が十分使いこなしている状況ではない。しかし, このデバイスを用いて脳波測定中に脳波室に院内LANを用いて遠隔監視できるシステムを構築して問題点に対する対応を行っている。

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