ICUでの持続脳波モニタリング (cEEG) は, 非けいれん性てんかん重積状態, てんかん, 意識障害, 脳炎や脳症, Critical Care領域における脳波モニタリングなどに用いられる。ICUで行う場合でも, 通常の脳波検査と同様に10-20法に基づき頭皮に電極を装着する。ただし, 電極装着時は, 挿管チューブや点滴ライン, 頭蓋内圧 (ICP) のケーブルやドレーンチューブに注意を払わなければならない。また, 心電図, 血圧, SpO2およびICPなどのモニター値を常にチェックする必要がある。特に, 頭部を動かす際には注意を要する。1名の技師で装着から記録まで可能であるが, 念のために外回りの技師と2名で対応する方が安全で記録開始までスムーズにいく。cEEG 中には, 患者自身による体動, 体位変換, 喀痰吸引などの様々な処置やリハビリテーションにより電極が不安定になりやすいため, 念入りに固定を行う。また, これらは異常な脳波波形様を呈し, 脳波のみの記録ではそれがアーチファクトなのか, 異常波形なのか判断に迷う場合がある。そこで, 脳波とアーチファクトの鑑別にビデオ同時記録が有効である。また, ビデオ同時記録は, けいれん性や非けいれん性の鑑別, 微細な臨床症状 (ミオクローヌス, 口部自動症や一点凝視など) の確認にも重要な役割を持つ。当院では, ICUで通常の脳波検査を行い, 必要があった場合にそのままcEEGに移行することが多い。ICUでのcEEGは48時間が推奨されているが, 当院では脳波計が睡眠検査やてんかんビデオ脳波モニタリングと併用されているため定点的に記録をする方法で対応している。脳波計がルーチン検査用以外に必要ではあるが, Neuro-ICUがなくても, 24時間体制が構築できなくても, 杓子定規にできないのではなく, まずはできる範囲で脳波モニタリングを始めてはどうだろうか。臨床側としても, 治療戦略の指標になると考える。本稿では, 当院でのcEEGの運用を中心に述べる。
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