2024 年 52 巻 2 号 p. 149-157
針筋電図は神経筋診断を行う上で欠かせない重要な臨床検査である。本稿は初学者を対象とした基礎知識についての解説である。まず, 針電極の構造と活動電位記録の原理について述べた。針電極で観察できる範囲は非常に狭く, また, 振幅や持続時間といったパラメータによって異なる。実際の検査にあたっての筋電計の設定, 感度 (ゲイン) や掃引速度について触れた。実際の検査と同様, 安静時に続いて随意収縮時の評価という流れに従い観察される主な活動電位の特徴について記載した。安静時の所見として, 刺入時活動, 終板活動について要点をまとめ, さらに脱神経電位として重要な線維自発電位, 陽性鋭波, および線維束電位について詳述した。随意運動時の運動単位電位の観察にあたっては, 多相波の発生機序や神経原性および筋原性変化の波形の違いについての理解は必須である。動員と干渉パターンの観察は客観性が高くそれらのポイントについて概説した。