コミュニティ心理学研究
Online ISSN : 2434-2041
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講演
質的研究法としてのグラウンデッド・セオリー・アプローチ―その特性と分析技法―
木下 康仁
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2001 年 5 巻 1 号 p. 49-69

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抄録

グラウンデッド・セオリー・アプローチは,データに密着(grounded)した分析から独自の理論を生成する質的研究法として1960年代に開発されたものであるが,近年日本においても,看護学や社会幅祉学などヒューマンサービス領域をはじめ社会科学領域においても関心をもたれている。その一方で,実際の分析技法に関しては分かりにくい,むずかしいという反応が多いのも特徴的である。1990年代初めに露見した,考案者であるストラウスとグレーザーの見解の相違も,そうした傾向に拍車をかけている。

そこで私は,彼らの立場を批判的に検討し,この研究法に本来的に備わっている特性を確認したうえで,私の解釈と提案を盛り込んだ分析技法を修正版GTAとして提示しているので,本稿ではその要点を説明する。大原則であるgrounded on dataの意味をこの研究法が考案された背景から明らかにし,ついで修正版の特徴である分析技法について具体的に述べ,合わせて実際の研究例を二つ紹介する。

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© 2001 日本コミュニティ心理学会
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