子育て研究
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児童家庭相談における児童家庭支援センターの役割の検討
堀口 康太
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2022 年 12 巻 p. 3-15

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抄録

本研究の目的は、タイムスタディ法を用いて児童家庭支援センター(以下センター)が児童家庭相談に おいて包括的で総合的な支援を提供する役割を担うために必要な課題を検討することであった。研究協力 者は、首都圏の4 センターに勤務する15 名の職員であった。勤務形態は常勤(兼務含)が8 名、非常勤が 3 名、無回答が4 名、職種は相談員が9 名、心理士が3 名、その他が1 名、無回答が2 名、勤務年数の範 囲は1 年未満~ 11 年であった(無回答6 名)。各協力者には、勤務日の業務を記録するための自記式の調 査票を配布し、勤務日において、「何を、どのくらいの時間行ったか」について回答を求めた。調査期間は 2019 年11 月18 日から12 月15 日までの4 週間(実勤務日20 日間)であった。分析の結果、所内面接や カンファレンスと比較すると、アウトリーチ型の支援の件数、所要時間が相対的に少ないこと、子どもや 保護者と会える機会を活かした5 分から15 分程度のモニタリング、アセスメントのための電話相談や所内 面接を行っていること、主な連携先は児童相談所や市の児童家庭相談であることが示された。これらの結 果から、アウトリーチ型の支援を展開できる体制整備、機会を活かしたモニタリング、アセスメント機能 があることを周知すること、学校、保育園等の地域の関係機関との連携を促進することが、今後取り組む べき必要のある課題であることが示唆される。

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