子育て研究
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乳幼児養育者の援助要請と相談行動に対する自他の認知との関連
三浦 茉莉伊藤 麻里北島 正人
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2023 年 13 巻 p. 3-13

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抄録
少子高齢化が進んでいる我が国において子育て支援は重要である。養育者に支援が届かない場合の理由 は様々あるだろうが、養育者が支援を求めない、あるいは求められないことも理由の1 つであろう。本研 究では、自分の相談行動に対する自他の認知と対象関係に着目し、これらの特性と被援助志向性および子 育てに関する援助要請(被援助志向性および被援助行動)との関連を明らかにし、さらなる支援を必要 とする養育者に向けた効果的な支援の手がかりを探るために、乳幼児養育者152 名に質問紙調査を行った。 その結果、被援助志向性/子育て被援助志向性/子育て被援助行動と、自分の相談行動に対する自他の認 知の間には有意な正の相関が、被援助志向性と対象関係「親和不全」「希薄な対人関係」の間には有意な負 の相関が認められた。これより、子育て場面に限らない全般的な被援助志向性や子育て被援助志向性が低 い、また子育て被援助行動が少ない養育者に対する支援の工夫として、①支援者が相談に対して否定的な 言動を控えること、②相談行動についての捉え方の変化を促す心理教育や、SST などを通した援助要請ス キルを高めるトレーニングを義務教育や母親学級等で行うこと、③相互理解やサポートの授受を含むよう な対人交流ができるような機会を提供し、養育者と持続的な関係を築いたり、養育者が他の養育者や支援 機関ともつながれるような仲介をしたりすることが有用だと考えられた。
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© 2023 日本子育て学会
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