抄録
本研究は、民生委員児童委員、主任児童委員による地域の支援を要する児童や家庭への支援(見守り)のプロセスを明らかにすることを目的とした研究である。研究協力者は、都市部で活動する民生委員児童委員6名と主任児童委員9名の合計15名であった(平均経験年数8.06年)。調査はフォーカス・グループ・インタビューを用い、分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチと解釈学的現象学分析を参考にして行った。分析の結果、民生委員児童委員、主任児童委員は、《見守り開始時に感じる制約》から、《児童や家庭への支援において直面する限界》を感じつつも、《委員として提供できる児童や家庭への支援》を行う。その中で、《見守りにおける実感と実感のなさの葛藤》、《つなぎ役割の意識とつなぎ以上の役割を求めるわりきれなさ》、《実感を求めたい思いと支援に対する責任や不安のせめぎあい》といった両価的な経験をすることが示された。このように民生委員児童委員、主任児童委員による見守りは、常にわりきれなさを内包した支援のプロセスであることが示唆される。