植物の生長調節
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植物における小分子RNAを介した遺伝子発現調節:siRNA,miRNA研究の現状と応用
佐藤 文彦
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2007 年 42 巻 2 号 p. 130-138

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抄録

21-24塩基からなる小分子RNAが生物細胞のなかで,RNAサイレンシングあるいはRNAiと呼ばれる機構を介して多様な遺伝子発現制御にかかわっていることがわかってきた.従来,ウイルスやトランスポゾン,あるいは外来性遺伝子の異常な発現によって生じた二本鎖(ds)RNAを介して生成したshort interfering(si)RNA経路がよく知られていたが,ここ数年,内在遺伝子に由来したヘアピン構造をもつ転写産物から生じるmicro(mi)RNAが形態形成に関わる転写因子遺伝子を標的として,その転写産物の切断や翻訳抑制に機能していることがわかってきている.さらに,miRNAを介して異なる遺伝子を標的とするta-siRNAが生成する経路や,内在するセンス-アンチセンス鎖の重なりから生じるnat-siRNA経路等が明らかになっている.小分子RNAが遺伝子発現制御において果たす生理的役割は極めて大きく,その概略を紹介する.

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© 2007 一般社団法人植物化学調節学会
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