抄録
因子分析では,因子負荷行列の解釈を容易にするためにバリマックス回転がよく用いられる.この回転は,因子負荷行列を単純構造に近づけようとする.本論文では,バリマックス回転を正準判別分析に適用し,正準判別変量に基づく判別空間の解釈を容易にすることを試みた.この場合,回転の対象は,群内分散を1とし,さらに各変量の群内標準偏差をかけることによって2重に標準化された正準変量である.まず,人工的データを提示して,この手法の説明とコンピュータ・プログラムのチェックを行った.つぎに,9群62個体16変量の老人医療データとFisherのあやめのデータにこの手法を適用した.