計算機統計学
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退化調整型ハザード・モデルとその推測
杉本 知之後藤 昌司
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2000 年 12 巻 2 号 p. 85-106

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抄録

生存時間解析において, 比例ハザード・モデル(Cox, 1972)に基づくいくつかの接近法は癌などの難治疾患の予後因子を探索する代表的なツールとしての位置を占めている.ただし, 治癒する可能性の高い疾患の生存時間データに, 比例ハザード・モデルを直載にあてはめても, その結果は, 実質科学の現実に照らしたときに, 解釈に難をきたすか, あるいは実体との乖離を生むことが多い.このとき, 治癒個体を考慮に入れたBoag(1949)のモデルを個体の共変量を組み入れた形式で拡張することが考えられる.本論文では, Boagの提案を比例ハザード・モデルの枠組みで拡張し, とくに, セミパラメトリック方式で検討した.この推測方式, EMアルゴリズムを介した近似法および生存時間関数の推定方法を提案した.数値検証ではこれらの妥当性, 有用性が示唆され, 事例検討では, 新たな視点にたつ生産的知見が得られる可能性を示した.

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© 2000 日本計算機統計学会
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