計算機統計学
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Kaplan-Meier積分に対する自己一致方程式とその応用
鈴川 晶夫種市 信裕
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2001 年 13 巻 2 号 p. 93-103

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抄録

打切りデータに基づくノンパラメトリック最尤推定量であるKaplan-Meier推定量Fn(t)(Kaplan and Meier, 1958)は, 生存時間データの解析において最も重要な推定量であり, これに対する自己一致方程式がEfron(1967)によって示されている.この方程式は, 打切りデータを欠測値のある不完全データとみなしたときに, その不完全部分がKaplan-Meier推定量においてどのように推定(補完)されているかを示す重要なものである.本論文において, Kaplan-Meier積分∫φ(t)fF_n(t)に対する自己一致方程式を導入した.この方程式は, 被積分関数φをφ(t)=I(t>x)とするとEfron(1967)の自己一致方程式に一致するという意味において, その一般化である.ただし, I(A)を集合Aの定義関数とする.また, 本論文において, Kaplan-Meier積分の自己一致方程式の応用として, 次の3つの問題について議論した.(1)打切りデータに基づくパラメトリック推定量の漸近一致性に関する結果(Suzukawa, Imai & Sato, 2001)をデータの不完全性の補完という観点から解釈する問題, (2)単調関数φに対して, ∫φ(t)dF_n(t)=∫φ(t)dF_n^<(φ)>(t)をみたす分布F_n^<(φ)>を構成する問題, (3)打切りを受けたという条件のもとでの条件付平均生存時間の推定問題.

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© 2001 日本計算機統計学会
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