2016 年 29 巻 1 号 p. 29-46
受信者動作特性 (Receiver Operating Characteristic:ROC) 曲線は, 診断検査の確度を特徴づける有用な道具である. 近年, 検査の確度に影響を及ぼす因子 (共変量) を説明する観点から, ROC回帰モデルと呼ばれる諸種の接近法が提示されている. Rodríguez-Álvarez et al. (2011b) は, ROC曲線に対して一般化加法モデルの枠組みで因子の影響を定式化したROC回帰モデルの推測過程を提案した. 彼らは平滑化関数の推定に交差妥当性確認法に基づく局所線形核平滑化法を利用した方法を提案しているが, ここでは制限つき最尤法に基づく罰則つきスプラインの適用による方法を提案する. 本稿では, この推測方式について紹介するとともに, シミュレーションを実施し, とくに小標本で, 提案法が既存の方法よりも良好な推測結果を与えることを示す.