2023 年 36 巻 2 号 p. 83-97
本体の性能を維持するために, 付属する消耗部品 (以降単に部品とする) の定期的な交換が必要な製品は数多い. 我々はこのような部品の交換を再発事象という観点でとらえ, 連続時間の確率過程として非定常ポアソン過程, 離散時間の確率過程としては状態空間モデルを用いた分析を行う. 解析対象は製品本体とそれに対応する部品の出荷数のデータである. 連立方程式を用いることで, 未観測の状態である本体の稼働台数を考慮した部品の需要予測モデルを提案する. 本体の稼働台数の情報は商品のライフサイクル設計に活かすことができ, 経営上の戦略にとって有益である. パラメータの推定量に関しては, シミュレーションによりバイアスと標準誤差を明らかにする. 事例研究では, 予測精度の点において, 提案モデルが既存のモデル (バスモデルとARIMAモデル) より優れていることを示す.