抄録
医薬分野において検証的な立場で解析を行う場合,多群データの比較に繰り返しt検定を適用すると,検定の多重性の問題によって第一種の過誤がかなりの大きさになるため,適切ではないという認識が一般化している.多群の群間比較の問題にはt検定の代わりに適切な多重比較法を用いることが薦められる.多重比較法の多くは,正規分布に従い,かつ群間で例数が等しいことを前提として当初考案されたが,現実の医薬データでは外れ値を含んだりカテゴリカルデータを反応変数とする場合が多く,また群間で例数が異なるのがむしろ普通であり,これらの問題に対応するため理論的な拡張がなされてきた.本稿では,SASのリリース6.07から使用可能になったPROBMC関数を用いて,ノンパラメトリックな多重比較を実行する方法について解説し,計算プログラムのマクロを示す.