計算機統計学
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インターネットと表現の自由
常本 照樹
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1997 年 9 巻 2 号 p. 129-137

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抄録

インターネットはきわめて民主的な媒体であり,さまざまな情報を誰もが低コストで送受信できる.しかし同時に,ポルノグラフィーや差別的表現など,問題ある表現の洪水をも引き起こしている. 本報告ではまず,これらの情報を制御するための世界各国や国際機関におけるとりくみを概観する.アメリカでは通信品位法が定められ,合憲性を問う裁判も起こされた.一方,日本において,郵政省は法規制を避け,インターネット関連組織に基本的責任を与える方向で検討を始めるとともに,子どもにとって有害な画面をフィルタリングするソフトウェア開発を奨励している.しかしながら,わが国においては「自主規制」が過剰になりがちだという問題もあるし,ソフトウェアによるブロックにも実効性のみならず,ユーザーの手の届かないところで表現内容がコントロールされるという問題がないわけではない. 最後に,インターネットにおけるコンテンツ規制の憲法的論点について整理する.

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© 1997 日本計算機統計学会
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