日本CT技術学会雑誌
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Print ISSN : 2434-2769
テクニカルノート
胸部大動脈の救急CT における自動画像認識技術の有用性
原島 豊和村松 駿中田 翔太黒田 峰雪栗原 亜季
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2024 年 12 巻 3 号 p. 6-

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抄録

重要な要点

・ALPHA technology のoblique MPR 画像の作成時間は,マニュアル作成よりも約22 秒短縮した.

・ALPHA technology が作成したoblique MPR 画像の精度は,約92%が診断に有用な画像である.

・ALPHA technology によりoblique MPR 画像の作成ができなかった症例はなかった.


要旨

【目的】救急診療においてcomputed tomography (CT) 検査は,診断に有用な画像を迅速に提供する必要がある.自動画像認識技術 (Automatic Landmarking and Parsing of Human Anatomy (ALPHA) technology) は,CT 画像から解剖学的構造を識別し,自動でoblique multi planar reconstruction (MPR) 画像が作成可能な技術である.本研究は,ALPHA Technology を胸部大動脈の救急CT に臨床導入するために,マニュアル作業との画像作成時間および精度を比較し,有用性を明らかにすることである.

【方法】対象は,胸部大動脈疾患で撮影された38 例である. 診療放射線技師4 名による大動脈弓部に沿ったoblique MPR 画像を作成する時間と,ALPHA Technology による作成時間を比較した.さらに,ALPHA Technology が作成したoblique MPR 画像の精度を診療放射線技師4 名で評価した.

【結果】ALPHA Technology によるoblique MPR 画像の作成時間は,診療放射線技師による作成時間よりも約22 秒短縮した.ALPHA Technology が決定したoblique MPR 画像の精度は,約92%で診断に有用な画像であった.

【結論】ALPHA Technology は,マニュアルによるoblique MPR 画像作成と比較して,作成時間を短縮しながらも精度が高い.したがって,救急診療において有用性がある.

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