日本CT技術学会雑誌
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テクニカルノート
  • 吉田 汐里, 長田 弘二, 西郡 健太, 佐藤 穂波, 福知 千佳, 山村 博
    2024 年 12 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/11
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・造影剤と生理食塩水の同時注入法は,造影剤濃度の低濃度化かつ注入速度を高速化させることにより乳幼児心臓CT における造影効果を向上させる.

    ・造影剤と生理食塩水の同時注入法は,右心房周辺に生じやすい造影ムラを低減させる効果が見込める.

    ・造影剤と生理食塩水の同時注入法は,左右心腔内を均一に造影することが可能であり,心臓内腔構造評価に有用な注入プロトコールである.


    要旨

    【目的】乳幼児心臓computed tomography (CT) 検査における造影剤と生理食塩水 (生食) の同時注入法の造影効果を検討した.

    【方法】造影剤注入後に生食後押しする方法 (生食後押し法) と造影剤と生食の同時混合注入後に生食後押しを行う方法 (同時注入法) の2 群について検討した.評価部位を右心房,右心室,左心房,左心室,上行大動脈,肺動脈本管レベルの下行大動脈の6 点として造影効果を比較した.右心房region of interest (ROI) 内のstandard deviation (SD) 値から右心房における造影ムラを評価した.心室内のCT 値の高い側を分母,低い側を分子とした左右心室造影効果比とする評価変数を用いて右心系と左心系のCT 値差の評価を行った.

    【結果】全ての評価部位において造影1 相目では同時注入法で有意に高いCT 値を示した.右心房の造影ムラについては,造影1 相目では有意差は認めなかったが2 相目では同時注入法による造影ムラ低減効果が示唆された.左右心室造影効果比は同時注入法1 相目で有意に高値を示し,均一に造影されることが認められた.

    【結語】乳幼児心臓CT 検査において,同時注入法は高い造影効果を得ることが可能であり,右心房の造影ムラ低減効果,左右心腔内を均一に造影する効果から,先天性心疾患に対する有用な注入プロトコールである.

原著
  • 西郡 健太, 長田 弘二, 松原 孝祐, 佐藤 穂波, 庵 緋沙子, 福知 千佳
    2024 年 12 巻 1 号 p. 6-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/11
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・尿管結石検出のための低線量CT 検査でTin filter を付加すると120 kV ,80 kV 撮影と比較して線量分布は均一化される.

    ・尿管結石検出のための低線量CT では皮膚,膀胱,直腸吸収線量は120 kV ,80 kV 撮影と比較してTin filter を付加した撮影で低減される.


    要旨

    【目的】本研究は,尿管結石検出のための腹部領域における低線量CT の撮影方法の違いが,面内線量分布及び組織の吸収線量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.

    【方法】CT 装置はSIEMENS 社製SOMATOM Force を用いた.Single energy(以下,SE)撮影として管電圧120 kV ,80 kV ,Sn100 kV ,Dual energy(以下,DE)撮影として100/Sn150 kV の計4 種類を用いて比較検討を行った.撮影線量は,30 cm 水ファントムでの画像SD 値が各条件で20,23,25 HU 近傍になるように設定を行った.蛍光ガラス線量計(GD-302M:千代田テクノル社製),腹部RANDO Phantom(The Phantom Laboratory 社)を使用し腹部断面の吸収線量を取得した.検討項目としては,面内線量分布,皮膚・膀胱・直腸の吸収線量の比較について評価を行った.

    【結果】面内線量分布の比較では,120 kV と比較してSn100 kV 及び100/Sn150 kV では面内線量分布が均一化された.皮膚吸収線量については120 kV と比較して80 kV で有意に高くなり,Sn100 kV,100/Sn150 kV で有意に低くなる傾向を示した.膀胱の吸収線量は, SD20,23 HU では120 kV と比較してSn100 kV ,100/Sn150 kV で有意に低くなる傾向を示し,SD25 HU では120 kV と100/Sn150 kV に有意な差は認めなかった.直腸の吸収線量では,SD 値20,23 HU で120 kV と比較してSn100 kV ,100/Sn150 kV が有意に低くなった.

    【結語】尿管結石の検出のための低線量CT 検査において,Tin filter を付加した100 kV 撮影とDE 撮影は線量分布が均一化され,組織吸収線量の低下が認められた.

テクニカルノート
  • 岡藤 康明, 瓜倉 厚志, 髙城 正行
    2024 年 12 巻 1 号 p. 10-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/11
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・第1 世代と第5 世代の320-row area detector computed tomography (ADCT) におけるautomatic patient motion correction (APMC) 再構成,half 再構成のtemporal sensitivity profile (TSP) 形状が変化した.

    ・第1 世代320-row ADCT におけるhalf 再構成の実効時間分解能はX線管回転時間の半分であったが,第5 世代320-row ADCT では半分より高い値となった.

    ・Full 再構成に対するAPMC再構成,half 再構成の画像standard deviation (SD) 値の増加率は世代によらず同等であった.


    要旨

    【目的】世代の異なる320-row area detector computed tomography (ADCT) におけるnon-helical volume scanの実効時間分解能を評価すること.

    【方法】第1 世代と第5 世代の320-row ADCT (ADCT1st,ADCT5th) を使用した.インパルス法を用いてfull,automatic patient motion correction (APMC),half 再構成のtemporal sensitivity profile (TSP) を計測し,実効時間分解能の指標である半値幅と1/10 幅を算出した.また,Catphan 500 を撮像し,画像standard deviation (SD) 値を計測した.Full 再構成に対するSD 増加率を算出した.

    【結果】APMC,half 再構成のTSP 形状が装置間で変化した.ADCT1stのhalf 再構成の実効時間分解能はX線管回転時間の半分であったが,ADCT5thでは半分より高い値となった.Full 再構成に対するSD 増加率は装置間によらず,APMC再構成で約16%,half 再構成で約36%であった.

    【結論】世代の異なる装置間において,APMC,half 再構成のTSP 形状は異なる形状を示した.Full 再構成に対するAPMC およびhalf 再構成の画像SD 増加率は同等であった.

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