熱測定
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n-アルカンの相転移温度近傍における熱拡散率の変化
辻 隆行橋本 寿正
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1992 年 19 巻 4 号 p. 156-162

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抄録
温度波を利用した非定常法に基づいて, 固体および液体状態での有機物の熱拡散率測定法を開発した。本法は平滑なフィルム状試料の表面で,交流通電によるジュール発熱と,反対面に伝播された温度振動を測定することに基礎をおいている。試料の両面に金をスパッタリングしてヒーターならびにセンサーとした。温度波が試料中を伝わるとき時間が必要である。このため,ヒーターとセンサーの間で温度波に位相差を生じる。この位相差は,試料の熱拡散率と厚さに依存している。本研究では,いくつかのn-アルカンについて,熱拡散率の温度依存性を,回転固相転移温度と融点を含む温度域で測定した。その結果これらの一次相転移では,熱拡散率が急激に小さくなること,さらに温度依存性に炭素数の奇数偶数効果が認められた。
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© 日本熱測定学会
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