抄録
サーモトロピック液晶高分子の圧力下における相転移および構造変化を高圧DTAと高圧下の広角X線回折により測定した結果を紹介した。液晶高分子は高分子結晶の有する異方性と液晶の性質をあわせもつことから,適当な圧力,温度条件の下で結晶多形や高圧液晶相の発現など興味ある現象が起きることを2~3の主鎖型液晶高分子について具体的に示した。今回の試料のように結晶構造が明らかでない液晶高分子では,液晶転移や液晶状態からの固化過程での結晶多形の機構,そしてそれらが起きる理由を理解するまでに至っていないのが現状である。将来,この分野の研究が活発になり,液晶高分子の相転移や結晶多形が解明されるよう期待したい。