熱測定
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高分解能TG分析法の開発と無機塩の脱水反応への応用
有井 忠金谷 貴岸 証藤井 信行
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1994 年 21 巻 4 号 p. 151-157

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抄録

脱水反応の多くは可逆的であり発生気体中の水蒸気分圧によって影響される。そのため,これらの反応は,試料サイズ,雰囲気ガスの性質,試料容器,昇温速度等の実験条件に著しく依存する。近年,幾つかの速度制御熱分析(CRTA)法が積極的に研究されている。ここで,我々はこのCRTAに属する高分解能技法として,ダイナミック温度制御(DRC)法を提案する。この技法では,昇温速度が試料の分解速度の変化に応答してダイナミックにそして連続的に変化する。無機塩(CaSO4・2H2O,MgSO4・7H2O,CuSO4・5H2O)の脱水反応における表示データは,伝統的なTG曲線に対する改善された分解能を示している。DRC法では,脱水が平衡状態に近い条件のもとで進行する。そのため,脱水反応の反応開始が低温側ヘシフトしDRC曲線はより明瞭になる。また,反応は脱水メカニズムを特徴づけるプラトーとともに数段階で明瞭に起こる。特にこの手法が中間生成物の検出において非常に有効的な技法であることが明らかにされた。

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