抄録
ポリアセタール樹脂の熱安定性を評価することを目的にホモポリマーとコポリマーおよびパラホルムアルデヒドのTG昇温法による速度論的な解析とTG-DTA-FTIR同時測定法による発生ガス分析を行い,ポリアセタール樹脂の熱酸化分解挙動の解析を行った。
乾燥空気雰囲気におけるポリアセタール樹脂の熱酸化分解挙動は,TG昇温法で求めた微分熱重量(DTG)曲線のピーク温度が各昇温速度においてホモポリマーよりもコポリマーの方が約28℃高く耐熱性が優れている。同様に,昇温法による速度論的な解析結果から,熱酸化分解反応の活性化エネルギーはホモポリマーで121.8kJ mol-1,コポリマーで133.7kJ mol-1となり,コポリマーの方が熱酸化分解の活性化エネルギーが約12kJ mol-1大きい値を示した。また,パラホルムアルデヒドの熱酸化分解の活性化エネルギーが79.8kJmol-1となり,ポリマーの1次構造の熱安定性に対応することがわかった。一方,乾燥空気雰囲気における熱酸化分解の発生ガス分析では,ポリアセタール樹脂およびパラホルムアルデヒドの発生ガスのプロファイルから脱ホルムアルデヒド反応が主体であり,DTA曲線から吸熱反応であることがわかった。そして,ホモポリマーの場合は樹脂内部の収着ホルムアルデヒドと考えられる発生ガスが融解時にFTIRで観察された。