抄録
本報は,大環状シクロデキストリン(重合度21から32のシクロデキストリンであり,CD21のようにCDの後に数字をいれ略号でしめす。)とヨウ素の包接化合物形成について熱力学的な解析を行った結果の解説である。CD6,CD7がヨウ素と1:1で結合するのに対して,CD21からCD33では,1:2の協同的な結合モデルではじめて解析できることがわかった。すなわち,最初のヨウ素分子の比較的弱い結合の後で,次のヨウ素分子の結合が強くなることが明かとなった。また,CD24およびCD26のヨウ素との包接では特異的な熱力学パラメータが得られたので,その結果の解釈を構造の観点から試みた。