抄録
織物状高分子材料の酸化劣化評価のため,酸素存在下での昇温過程で発光を観測するオキシルミネセンス法の適用を試みた。多くの織物では,熱安定性評価法として広く用いられている熱天秤法(TGA)と比較して,150℃程度低温側で発光ピークが観測され,酸化劣化初期過程の評価に有効な方法であることを明らかにした。さらに,発光量の多い絹について,本法の特徴である見かけの活性化エネルギー分布測定,発光スペクトル解析,IRスペクトルとの対比をすることなどで,オキシルミネセンス法が酸化の評価法として,従来の熱分析では得られない独特な情報が得られる方法であると結論した。