抄録
ZnTe化合物の熱含量を落下型熱量計を用いて,750~1600Kの温度範囲で測定した。
熱含量-温度プロットからZnTe化合物の融点は1573±3K,融解熱は51.1±0.3kJ mol-1と決定された。得られた熱含量値にShomate関数を適用して,固体領域の熱含量ならびに比熱の温度依存性を決定した。ZnTe化合物の生成熱および溶融Zn-Te2元系の混合熱を高温双子型熱量計を用いて測定した。溶融Zn-Te2元系合金の混合エンタルピーは化合物組成付近に近づくにつれ負の大きな値を示し,融体中に化学的な短範囲規則性が存在することが予想される。得られたZn-Te2元系合金の熱力学および従来の状態図データにAssociated Solutionモデルを適応し,モデルのパラメータを導出した。決定されたモデルのパラメータを用いて算出された熱力学諸量および状態図は,実験結果を良く再現できる。