熱測定
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熱伝導率測定による強相関電子系の物性研究
竹谷 純一
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2007 年 34 巻 3 号 p. 136-143

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抄録

電子やスピンの自由度を介した熱伝導率の測定が,銅酸化物高温超伝導体の超伝導状態及び一次元量子スピン液体の物性研究の手段になることを紹介する。銅酸化物高温超伝導体では,絶対零度近くまで金属的伝導を示す準粒子が存在し,またそのことが超伝導状態を発現する必要条件になっていることが明らかになった。一方,一次元量子スピン液体のスピン自由度が,格子熱伝導や電子熱伝導に匹敵する大きさの熱を運ぶ担い手となることを見出した。これらの結果から,様々な興味深い強相関電子系の低エネルギー物性の研究手段として,今後益々熱伝導率測定が役立てられることが期待される。

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