熱測定
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ジカルボン酸銅 (II) 錯体における分子吸蔵および脱離現象
井上 美香子川路 均東條 壮男阿竹 徹
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2007 年 34 巻 3 号 p. 128-135

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抄録

トランス1,4-シクロヘキサンジカルボン酸銅(II)についてSPring-8での放射光粉末X線構造解析とヘリウム温度から室温に至る温度領域での精密熱容量測定を行った。160Kに1次相転移を持ち,結晶構造が変化した。これにトルエンを吸蔵させると,吸蔵量の増加とともに転移温度が高温側にシフトしながら相転移が消失した。一方,四塩化炭素を吸蔵させると転移温度は低温側にシフトしながら吸蔵量の増加とともに熱異常が消失し,構造相転移を起さなくなった。トルエンの場合は吸蔵により格子が収縮するが,四塩化炭素の場合は吸蔵により格子が膨張した。1次元細孔に吸蔵されたこれらの分子鎖は融解現象を示さないことなどが明らかになった。

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