2016 年 20 巻 1 号 p. 43-46
可逆性後頭葉白質脳症(PRES : posterior reversible encephalopathy syndrome)は,頭痛,痙攣,視野障害を主症状とし,特徴的な画像所見によって診断に至る可逆的な疾患である。これまで,胸腹部大動脈置換術における脊髄灌流圧維持を目的とした人為的高血圧により発生した報告はない。高血圧に起因したPRESの治療は降圧であり,脊髄灌流圧を維持する行為とは相反するため,術後に発生した神経症状の鑑別にはPRESも念頭に置いて早期に画像診断を行う必要がある。