2016 年 20 巻 1 号 p. 7-12
Transcatheter aortic valve replacement(TAVR)では,従来は大動脈弁置換術の適応とならなかったようなハイリスク症例を対象とする機会が多い。先行する欧州では局所麻酔による管理が主流となりつつあるが,本邦では大半の症例が全身麻酔で行われており,今後どのような傾向を示すか興味深い。現在利用可能なEdwards社のSapienXTではrapid pacingが必要となるが,近年正確なpositioningのためにpacing時間が延長する傾向にあり,循環管理に細心の注意を要する。手技中の致死的なイベントに対しては,チームアプローチによる対応の重要性が指摘されており,危機管理の面で,また一般的な経過を取る場合にも,術後の貧血,急性腎不全や血小板減少,疼痛管理の重要性など様々な面において,麻酔科医の果たす役割は大きい。