Cardiovascular Anesthesia
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症例報告
閉塞性肥大型心筋症合併妊娠に対する帝王切開術中に慢性心不全の急性増悪を発症した 1 例
立岩 浩規 田村 貴彦矢田部 智昭山下 幸一横山 正尚
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2017 年 21 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

 症例は25歳,女性。閉塞性肥大型心筋症合併妊娠に対して,予定帝王切開術を施行した。麻酔は硬膜外麻酔を選択した。T12/L1およびL4/5に留置した2本の硬膜外カテーテルから2%リドカインを投与し,S~T8までの麻酔高を確認した後,手術を開始した。胎児娩出後,オキシトシンを投与したところ呼吸苦および血圧低下があり,経胸壁心エコー所見では,全周性の左室収縮低下と三尖弁逆流の増悪を認めた。子宮収縮による循環血液量の増加から,慢性心不全の急性増悪を生じたと考えた。頭高位をとり補助換気を行ったところ,血行動態が安定した。心疾患合併患者の麻酔時には,血行動態を適切にモニタリングし対応することが重要である。

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© 2017 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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