2017 年 21 巻 1 号 p. 29-31
Heyde症候群は,大動脈弁狭窄症によって後天性のvon Willebrand病が生じ,周術期には凝固障害が問題となる可能性が考えられる。本症例は大動脈弁狭窄症,繰り返す貧血と便潜血の既往から大動脈弁置換術直前にHeyde症候群を疑った。しかしvon Willebrand因子(vWF)に関する検査結果が出る前に手術を行ったため,vWFの予防的な補充を目的に術中に乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子/vWF複合体製剤を投与した。Heyde症候群は稀な疾患ではないため,大動脈弁狭窄症で消化管出血の病歴を有する場合本疾患を疑って早めの検査を行い,必要に応じてvWF補充を検討すべきである。