2017 年 21 巻 1 号 p. 139-144
【目的】
人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)を用いた心臓血管外科症例では,疾患自体の影響とCPB中の異物反応により高度な炎症が生じ,組織障害から多臓器障害を併発し得る。これに対して炎症制御を目的に術中から持続的に血液濾過透析(hemodiafiltration:HDF)を施行し,その効果を検討した。
【方法】
HDF併用群とHDF非併用群を後方視的に比較した。
【結果】
HDF併用群では,心,肺,腎機能は良好に維持され,CBP中の電解質管理も容易であった。
【結論】
HDF併用により基礎疾患,手術操作およびCPBによる生体侵襲が緩和され,良好な術後経過をもたらす可能性が示唆された。