Cardiovascular Anesthesia
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症例報告
僧帽弁形成術後の僧帽弁前尖収縮期前方運動に対してシベンゾリン静脈内投与が有効であった一例
藤井 祐 青山 正石田 祐基新屋 苑恵貝沼 関志西脇 公俊
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2017 年 21 巻 1 号 p. 69-74

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抄録

 僧帽弁形成術(MVP)後の僧帽弁前尖収縮期前方運動(SAM)に対してシベンゾリン静脈内投与が有効であった症例を報告する。

 SAMは狭い左室流出路(LVOT)を通過する加速血流のVenturi効果により増幅弁前尖がLVOTに引き込まれて生じる。周術期管理は前負荷・後負荷の維持,心収縮力の抑制,心拍数の調節が重要である。SAMの発生機序から閉塞性肥大型心筋症の治療(β遮断薬,Ca2+拮抗薬,Na+チャネル遮断薬)も有効となる。β遮断薬が一般的に使用されているが,MVP後のLVOT狭窄は頻脈より心収縮力増強が主因とされているため,陰性変時作用より陰性変力作用が優位なNa+チャネル遮断薬のシベンゾリンも有用となりえる。

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© 2017 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
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