2019 年 23 巻 1 号 p. 5-10
心臓血管外科手術では,大量出血や人工心肺の使用を契機に,止血反応に重要な凝固因子は希釈性に低下する。周術期を通してダイナミックに変動する凝固能に対して,各種凝固検査から得られた測定結果を血漿製剤や凝固因子濃縮製剤の投与プロセスに活用することが求められる。一般に,中央検査室で施行される血漿検査では検体搬送や血漿分離の所要時間が問題となるが,全血を用いて手術室内で測定を行うPoint-of-care testingの臨床応用が広まっている。これらテストを適宜に組み合わせて用いることで,より良い止血戦略の構築と輸血製剤の削減が可能となる。