2019 年 23 巻 1 号 p. 103-107
深部静脈血栓症の既往がある患者が,症状軽減と経済的理由で直接経口抗凝固薬(DOAC:第Xa因子阻害薬)を自己中断し,1年後に右房内血栓症を生じ緊急手術で摘出,さらに後日,抗リン脂質抗体症候群と診断された症例を経験した。
2011年から本邦でも使用可能となったDOACは血液凝固モニターがいらない,脳出血のリスクが低い,食物制限がないなどの長所を持つ。しかし,薬価が高いためにアドヒアランス低下になりやすく,中断により血栓症などの重篤な合併症を来すことがある。