2021 年 25 巻 1 号 p. 75-78
肺動脈カテーテル(PAC)は心臓手術で広く使用されている循環モニタリングである。今回我々は,人工心肺離脱後から適切な肺動脈圧波形をモニタリングできず,術後にその原因が肺動脈ルーメン部分の損傷であったと判明した症例を経験した。心臓手術時のカテーテル縫い込みや損傷に気づくことは抜去時まで困難であるが,今回我々は術中に生じたモニター波形異常から,心臓外科医と麻酔科医間でカテーテル自体の損傷や縫い込みの危険性を共有し,その管理に携わることで,結果としてカテーテル関連事故を予防することが可能であった。