2021 年 25 巻 1 号 p. 13-19
【目的】腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)術後の収容病床の違いが術後せん妄の発症に与える影響を明らかにすること。
【方法】広島大学病院において2013年10月から2019年4月までの間にEVARを受けた患者を対象とし,せん妄の発症を調査した。術後入室先としてICU群(ICU群)と一般病棟群(GW群)とでせん妄発症率を調査した。また,せん妄発症の関連因子を多変量解析で検討した。
【結果】対象は141名(ICU群n=30, GW群n=111)で,せん妄は計10名(7.1%),ICU群のうちの3名(10.0%),GW群のうちの7名(6.3%)に認めた。せん妄の発症頻度は両群間に有意差を認めなかった(p=0.48)。また,多変量解析ではICU入室はせん妄の有意な関連因子ではなかった(P=0.71)。
【結論】EVAR術後にICUへ短期間入室することは術後せん妄の発症に影響しない。