比較眼科研究
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ワークショップ
イヌの電気生理学的視覚機能検査法(ERGおよびVEP)に関する検討
中山 直樹荒川 恭子阪川 隆司木村 正明樽本 保男
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1995 年 14 巻 3-4 号 p. 3-4_141-3-4_149

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抄録

電気生理学的視覚機能検査手法である網膜電図(Electro Retinogram: ERG)および視覚誘発電位(Visual Evoked Potential: VEP)を指標としての有用性をイヌについて検討した。

雄ビーグル13頭を,キシラジンおよび硫酸アトロピン混合液の皮下投与で鎮静させた後,ERG(a波,b波および律動様小波)ならびにVEP(F-VEPおよびPR-VEP)を測定した。測定は5日から1週間の間隔で2回行い,再現性を確認した。その結果,ERGは動物実験において通常測定されa波およびb波に加え,律動様小波を再現性良く記録することが可能であった。一方,VEPにおいて動物実験で通常測定されるフラッシュ刺激による方法(F-VEP)は発光量等の測定条件に左右され,再現性は必ずしも良くないと考えられた。これに対し,パターンリバーサル刺激(PR-VEP)ではヒトと同様,イヌにおいても再現性の良い波形を記録することが可能であった。

以上より,動物実験で電気生理学的視覚機能検査として既に取り入れられているERGのa波およびb波,並びにF-VEPの他に,ERGに関しては律動様小波が,また,VEPではPR-VEPが,ともにイヌの電気生理学的視覚機能検査に応用可能と考えられた。

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© 1995 Japanese Society of Comparative and Veterinary Ophthalmology
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