抄録
毒性試験に供するために購入したCrl:CD(SD)雄ラット1例の右眼球に、小眼球症と角膜から結膜にかけて嚢胞状の隆起巣が認められた。眼科学的検査の結果、隆起巣周囲の角膜に混濁及び血管新生が認められ、隣接する硝子体では第一次硝子体過形成遺残(PHPV)も認められた。病理組織学的に、隆起巣は強膜成分から成る嚢胞様構造物であり、強膜ぶどう腫と診断された。本症例における強膜ぶどう腫の発生原因は特定できなかったが、小眼球症を始めとする種々の先天異常を伴っていたことから、これらの先天異常に併発した偶発病変と考えられた。